2017/02/11

発熱、消費電力を抑えてA級の高品位な音を楽しむアンプの構想 その2(2乗回路、ヤマハHCA 回路)

高効率A級アンプには2乗特性の回路が良さそうという感じですのでどうすれば2乗特性ができるかネットで調べてみました。あまり情報が無いのですがトランスリニア原理を応用した自乗回路がありました。

トランスリニア2乗回路

SPICEで簡単な回路を作りシミュレーションしました。

動作としては入力電流I1をQ1,Q2で対数圧縮し加算し、Q3でレベルシフト、Q4で指数伸張するという事になってます。
グラフ X軸;I1, Y軸、Ic(Q4)とその微分。
IC(Q4)はI1の2乗になっている。

変換結果はQ4のコレクタ電流に現れますが見事な2乗特性になってます。そのことはこのコレクタ電流を微分したカーブが直線になっていることから判断できます。
これをパワーアンプに応用できるかどうかトランジスタの一部Q4をパワートランジスタに変えてテストしてみましたが、2乗特性からはかなりずれてしまいました。
この4個のトランジスタはやはり同一特性になってないとだめのようです。

という事はこの回路を使い2乗プッシュプルを実現するには出来ないことはないにしても、結構複雑な回路を組まなければならないようでミニマルオーディオの立場としては少し腰が引けてしまいました。

他の方法で高効率A級を実現するには80年代にオーディオメーカーが開発した方式が各種あります。
その中から、T2アンプと非常に親和性の高い、ヤマハのHCA回路に注目しました。

ヤマハHCA回路

コンプリメンタリバイポーラのエミッタから入力電流を入れコレクタ側から位相が互いに逆の出力を取り出す回路で、T2アンプのセカンド・ステージに使われています。

ヤマハの言うHCA;Hyperbolic Conversion Amp(双曲線変換アンプ)を解析していて、始めのうちはどういう訳で双曲線になるか理解できませんでした。

この回路は特許になっていて特許の内容をもとに式をグラフにプロットしてみました。
(特開昭62-214707;出願1986年、ヤマハ)
HCA変換回路と入出力の関係

ここでもトランスリニア原理が働いており入力が大きく振られても出力には必ず電流は流れておりカットオフになることはありません。
出力のコレクタ電流は電流の大小の両端ではX軸あるいはIxの直線に漸近しています。
そして上側下側に各々逆位相になった電流を分配しています。
厳密にいえばこれは双曲線ではありませんが、おそらくマーケッティング上わかりやすい名前を付けたのではないかと思います。先達に敬意を払いこのままHCAと呼びます。

Idを色々変化させてみると;入力電流がどのように配分されるかが見えてきます。
このカーブは2乗特性ではなく、両端はほぼ直線で中間は滑らかにつなげられています。
そして2乗特性だった場合はピークの4分の1のバイアス電流が必要だったのを、HCAだともっと下げてもカットオフにはならないというのがこのグラフから見えてきます。

元々一つの信号を2つに分けているので、分けられた出力信号を加算すれば元にもどります。
アンプの中に組み込む場合はこれらの出力電流を各々電流増幅して加算すればオリジナルな信号を歪なく再現できます。

テツはT2アンプを開発したときはHCA回路を組み込んだ事に全く気付きませんでした。Spiceでのシミュレーションをしているとき。トランジスタのロードラインが曲がっているのに気づいて、色々と調べたら結局このHCAを30年後に再開発したのだとわかりました。
何たる奇遇!

何はともあれ、この回路をしっかりと解析できたので、これを踏まえてT2アンプを改良できそうです。

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