2016/04/24

シンプル・MOSFETプッシュプルアンプ; T2 最終回路

シンプルでミニマル機能のT2 MOSFETプッシュプル・パワーアンプは、ほぼ完成です。

当初の構想どおりに信号の通過するシグナルパスでの半導体、抵抗の数を最小限に抑えました。



基本回路に加えたのは、入力ハイパスフィルタと出力ゾーベル、クリップ対応ダイオードクランプです。

入力ハイパスフィルタは不要帯域の侵入を阻止し、不要かつ有害な成分へのアンプの無駄な応答を回避させます。
 出力ゾーベルは負荷がオープンの時や高インピーダンスの時にゲインが過度に上昇して不安定化するのを抑えます。
クリッピング対応ダイオードクランプは先回述べたようにクリップ時の過電流を防止します。

回路説明と使用部品

初段 (J1,J2)

  2SK170ランクBLでIdssが7.0mAのペアを選別して使用しました。この石の動作点はIdssに近い大電流で高gmの処で動作させます。Idssが大きいJfetは電極間容量が大きいという事で敬遠されますがカスコードなので問題は軽減されます。R10はトリムポットで、出力オフセットの調整をします。この2個のJFETは熱結合すればドリフトのキャンセルはさらに良いのでしょうが、距離を1cm程度に近づけてることもあり問題は出てません。

2段目カスコード(Q3,Q5)

比較的大電流の流せる2SC1815/2SA1015を使いました。
負荷抵抗 R11,R12は当初2.2KΩを使ってましたが、Cissの充放電を速やかにするにはより小さい方が良いので1KΩに下げました。ここは終段MOSFETのCissにより増減した方が良いでしょう。

温度補償(Q4)

Vbeを抵抗により増幅するVbeマルチプライヤです。終段バイアスの調整をR23トリムポット(200Ω)で行います。当然終段MOSFETとの熱結合が必須でありエポキシで固めて密着させてます。ここの電流源は3.5mAのCRD、そして、プラス電源の2分の1を決める電圧源にはZDを2個直列で使ってます。

終段 (M1,M2)

180V 10A, 130Wと大きな定格の2SK3497/2SJ618コンプリを使いました。Cissも大き目でドライブし難いですがGm(Y)も大きいのでこのアンプの電流ゲインを大きく稼げます。バイアス電流を大きくすればGmも又大きく増大します。ここでは400mAで使いその時のgmは3Sになります。
ゲートには発振防止のゲートストッパを入れました。当初220Ωでしたが、発振しないので、より小さくし、入力容量の充放電時間短縮の、50Ω程度迄落としました。
ソース抵抗には0.1Ωを使ってます。将来電流リミッタを使うときの電流検出用でもあります。

ゲートには小信号シリコン・ダイオードとシャントレギュレータTL431を使った、ダイオードクランプをいれ、ゲート駆動電圧を最大で3V程度にクランプさせてます。このダイオードはクリップするような大入力以外ではオフになっており、増幅動作に影響はありません。


電源、保護回路

EIコアのタンゴMG200の出力17.5VをSBDで両波整流しELNARのケミコン22000μF4本で平滑後正負24Vを作り、CFBレギュレータにより安定化させた+/-20Vを出力します。出力インピーダンスはmΩオーダーで大電流での電圧降下と高域迄の出力インピーダンスを低く抑えています。レギュレータの出力コンデンサは180uF、25VのOSコンを使い高域での出力インピーダンス上昇を抑えてます。
このレギュレータはDCオフセット又は過電流検出により即時シャットダウンさせています。
レギュレータを使ってるのはスピーカが100db・Wと高能率な為ノイズを嫌うのと低域での電源インピーダンスを抑えて低音のしまりをよくするためです。

特性測定 (HP8903B)

終段のバイアス電流は400mAに調整後、ウオームアップして行いました。


出力ノイズ  22uV (入力ショート、30Khz LPF)

 
         A補正なし

周波数特性 DC-100KHz (-3db)

         入力のLPF特性に依る。 
         素顔の実力は入力LPFを外さなければならない
         ので未測定

方形波特性

        リンギングのない素直な立ち上がり、立下り特性、
        素顔は同じく未測定。

歪率+ノイズ

         低NFBアンプの特徴であるソフトディストーション
         特性となっている。高域の方が歪が多め

ダンピングファクタ 20(左右、オンオフ法)


ヒアリング Impressions.


(スピーカ KenWood LSF555 86db、6Ω 及び 自作 3Way 8Ω、100db・W (TAD TM1201バックロード+JBL2425+パイオニアPTR-9)

ポップノイズもなくすっと電源が入る。スピーカーリレーはないので入力があれば即座に音が出る。
嫌なくせががなく、トーンバランスがいい。特定の帯域の強調感という事が無い。

音質の傾向はウオーム・トーン。長時間聞いても聴き疲れしにくい。
女性ボーカル(Shanti, Diana Krall、Celtic Womannなど)の易しい表情が出ると共に、ジャズ(マーカスミラー、LA4 )などでの瞬発力も感じる。
クラシック(五嶋みどり、ヨーヨーマ)はバイオリン、チェロの弦の微細な響きがよく聞こえる
LSF555スピーカで幻想交響曲の断頭台への行進ではティンパニーの強打でトリップする(6Ωなので30W+30W程度?)までボリュームを上げてみたがそれまで音がつぶれたり割れたりすることなくすごい迫力。もちろん能率の高いメインスピーカでは20W+20Wでドライブする音は大きすぎるのでそこまでは出力を入れられないがLSF555よりはるかに凄い迫力が出る。

バランスよく気持ちよく音楽を鳴らしてくれる。気に入りました。

追記(5/1、2016)
入力のLPFを外した処、高域の伸びがさらに良くなり、かすかな息つぎの音や子音の音も聞けるように分解能が向上しました。

総評


シンプルでミニマル機能のアンプを作り高音質にするという当初の目標は達せられたと考えています。部品点数を少なくするとより高鮮度、高解像度になるかと思ってましたが、このアンプでは、よりナチュラルな方向になったのは少し意外でした。出力デバイスの違いかもしれません。

追記(5/1、2016)
LPFを外した事により、高鮮度、高解像度になりました。出力デバイスのせいでは無かったようです。

何にしても要所を抑えシグナルパスをよりシンプルにするのは音にとっていいことだと思います。

残りの仕事はクリップ時の対応を電流リミッタでやり過ごすようにするか、それとも過電流検出を10A程度迄上げてシャットダウンしにくくするかなど、クリップしても音楽再生の邪魔にならないよう、電源側での対応を検討してみます。

また、このT2 アンプ・トポロジーはコンプリメンタリSIT(2SK70/2SJ20)への適用も視野に入れて考慮しているので、いずれ挑戦してみたいと考えてます
それと終段をバイポーラにしたヘッドホンアンプもアリですね。

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