2016/01/15

無帰還CIRCLOTRONパワーアンプの製作(10) まとめ その2 全回路と補足説明

このアンプは当初SITのプッシュプル・パワーアンプを作ることから始まりました。

それで出来上がったのは見かけはパワーアンプですが、
ボリュームコントロール用ATT、サブウーファー・システムのプリの役割も組み込んだ結果、インテグレーテッド・アンプとしての性格を持つことになりました。

そして、これまで2ボックス(真空管プリと0dbアンプ)だったのが、これで1ボックスになり、全段バランスのプリとモノブロック・バランス出力パワーアンプ2台がステレオ構成で内蔵できました。

アンプ部回路

初段はJFET入力インバーテッドダーリントン・ソースフォロワーで差動電流を作りフォールデッド・カスコードで折り返し、負荷抵抗R39,R40で差動電圧に変換します。この負荷抵抗の中点はQ28のエミッタにつながりコモンモード電圧を抑圧するコモンモードフィードバックをかけてます。このQ28のベースにはーBias L(左チャネル出力段バイアス電圧、-10V程度)が来ていて、出力差動電圧はこの電圧分レベルシフトされます。
Q27はコモンモードのアンプですが、高域特性の良いトランジスタでは発振するので、ほどほど特性のTIP31Cを起用してます。
差動出力電圧の中心がー10V程度となると、電源電圧がそのままでは負方向の出力電圧が減少しますので、そうならないように正負DC電源電圧の中心を同じくこのーBias Lにつないで、出力電圧のヘッド・ルームを確保してます。
その結果VA+は20V程度、VA-はー40V程度になってます。
そして負側の電源電圧が大きくなると初段の電流源Q21,Q22の損失が増えますので、この電流経路に抵抗を入れて10V程度負担を肩代わりさせてます。
差動出力から2SK82のゲートまでは直結でDC結合し、コンデンサを排除しました。また中間に2SK82の入力容量をドライブさせるためのバッファを入れるかどうか迷ったのですが。電圧増幅部の出力インピーダンスが最大で4.7Kとそう高いわけではなく、実際の使用時はシャントATTにより20dbほど絞るので出力インピーダンスも10分の1になるため十分高域迄帯域確保できると踏みました。
ここにATTを入れると(後置ATT)このように帯域拡大だけでなく、これより前段で発生するノイズやドリフトを信号を絞ると同じ割合で減少させることができ、前置ATTのようにボリュームを絞った時の解像度劣化を減らすことができます。
最終段はSIT、2SK82のCirclotron(CSPP)です。出力中点はグランドレベルです。CSPPの電源は2個のフローティング電源が必要で、SITの場合はドレイン抵抗が非常に低く(実際数Ωしかありません)リップルや電圧変動によりノイズやドレイン電流の変動を引き起こしますので厳格な管理が必要です。そのためレギュレータを入れてます。共用ができないので片チャネル2個の電源に2個のレギュレータが必要です。

差動増幅部の信号経路は全て定電流回路などによりDC電源から浮いているので、DC電源との相互干渉をなくしています。また実際の増幅作用は最初段に集中させ、他はレベルシフト、方向反転、バッファなどなので鮮度の劣化を最小限にとどめています。

この回路図にはないですが、左右のスピーカ出力からサブウーファー用アンプの為RCA端子で出しています。

部品は差動動作のペアとなるトランジスタと抵抗はペアで動作状態で選別しました。
音質に関係する抵抗のR55,R39、R40はVisahy VSRを使いました。他はReyです。

AC入力部、電圧増幅部電源、アッテネータ

ACはS1を経由するのと経由しないUnswitched ACがあります、アンプ部の3個のトランス(出力段2個、電圧増幅段1個)は電源スイッチでON・Offされますが、バイアスと保護回路用電源は常時通電のUnswitched ACから供給されています。
増幅部正負DC電源にはジャイレータによるCLC、π型平滑回路を組み込みました。
この電源の中点はグランドではなくーBias Lにつながり、終段バイアス分シフトされます。
ATTはシャント・アッテネータで真空管プリからはずしてきました。元の設計では解放時5.6KΩx2が仕様ですが、このアンプの4.7KΩx2でも常用域では大きな違いが出ないのでそのまま取り込みました。
ATT用抵抗はDale NS2B(高抵抗はNS-5B)でセイデンのロータリースイッチです、4回路ありますが実際は2回路でよく、ここでは接点をパラにして使ってます。

DCオフセット・プロテクタ、終段レギュレータ

これまでにSPICEサーキットで紹介しましたが、これが回路の全体(片チャネル分)です。
これに何度も助けられました。これが無ければ貴重な2SK82を何度も飛ばしていたことでしょう。そしてスピーカーも。
ユニバーサル基板に組んだ電圧増幅段のイモ半田の為に出力にDCが現れてもこの回路が検知、電源をシャットダウンしてくれました。しかしあまりの回数の多さにとうとうQ8がショートモードでいかれました。シミュレーションにはなかったR16はこれを防ぐQ8ベース電流の制限用です。

DCオフセットが検出されるとラッチされますがそれによりQ9をオンにしてコレクタに直列接続されているフォトMOSリレーや赤LEDを点灯させ、レギュレータの一斉シャットダウンと表示を行っています。

CFBレギュレータはこれまであちこちで使ってきました。このボードもアンプ試作段階から使ってきましたが、当初は出力電圧が出ない、そしてある程度この現象が改善してからは片側のレギュレータが時々上がらない。というトラブルが多発しました。原因はSITのドレイン抵抗が低いため、起動時の負バイアスがきちんとかかってないと出力がショート状態になりこのCFBレギュレータが起動しないというもので。これは基準電圧の為の電流を出力からとるというこの回路の性質からくるものでCFBレギュレータ開発時には分かっていましたが、これは過負荷時にレギュレータ保護するので安全側の性質ですが。実際に起こったのは初めてでした。(過保護かも)

それでR53,R54を追加して起動時にも十分な電流を流すようにし起動しやすくしました。はじめは2.2KΩ最終的には確実な起動のため1KΩまで減らしました。

自作アンプにはプロテクタがMUST HAVE ITEMです。
このSONY 2SK82もスピーカーのTAD TM1201nの場合、もはや入手は困難ですから。絶滅してますし。

バイアス・ロジック電源

なんの変哲もない回路です。TL431で終段用負バイアスを作っています。ここで増幅段用電源と増幅部出力コモンモード基準になるーBias Lを作っています。
このバイアス発生回路は左右2回路あり、2SK82ペアが似通っているのでほぼ似た電圧になってます。

以上。

SITのCSPP(CIRCLOTRON)の為電源をはじめ保護回路など周辺の回路規模が大きくなりました。
でも高音質追及のためにはモノ構成のバランスアンプがベストという考えに立てば、どれも必要なことです。この音を聴けるのであれば自作の苦労も報われると思ってます。


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