2015/09/03

インバーテッドダーリントンはなぜ発振しやすい?SPICEシミュレーション

小出力パワーアンプ・プロジェクトからのスピン・オフ・コラムです。

プログラミングで例えれば、サブルーチンをコールしたところでして、最後はメイン・ルーチンにちゃんとリターン出来るかが気になるところですが、そのうち戻ります。
 
テツはあるプロジェクトを始めても、理解できてないところがあるとほっとけないタチなので、インバーテッドダーリントンの発振など、細かい処を突っついてます。 

さて、これまでテツが発表した低歪MOSFET ソースフォロアは、インバーテッド・ダーリントンの1変形ですし、また同じく、CFB・LDOレギュレータもまた同系統の回路ですから共通の回路解析として、役立つでしょう。

テツの考えた回路は、単なるインバーテッドダーリントンではなく、入力段を定電流化しているところに特徴があり、その結果単なるインバーテッドダーリントンよりも低歪、低出力インピーダンスが実現できてます。

ただ、その為に石の極性などはインバーテッドダーリントンとは違っているのですが、入力にフォロアを使い、そのコレクタ・ドレイン電流をブースターで増幅して出力に出すと共に入力段のフォロアに電流帰還フィードバック(CFB)するという構成は全く同じです。

その結果、インバーテッドダーリントン自体が持つ発振しやすいという性質はしっかり受け継いでおり、実験中でも発振しやすく、ネットで調べても、理由はわからん、それで、どうしてそうなのかを自分で解明する必要性にかられました。



こういう時に大いに役に立つのがシミュレーション・ソフトで現在はLT-SPICEを使っています。

フリーソフトながら高性能で、機能も豊富なので半田付けの回数よりははるかに数多くこなしています。

特に何かアイデアが閃いたときに実験機を作る前に、DC解析、トランジェント解析、AC解析を使って動作を確認すれば、部品を買わなくともテストができるし性能が確認できるのがいいですね。

という事でインバーテッドダーリントンの発振についてLT-SPICEで回路を起こし確認しました。

回路


バイポーラ・トランジスタ2石を使ったインバーテッドダーリントン回路をLT-SPICEで動作確認するための回路です。

  • 2SA1837と2SC5200でパワーアンプ終段の1部を切り取ったものでインバーテッド・ダーリントンを構成させています。
  • 通常は2SA1837のベースから信号を入れるのですがループゲイン解析のためにベースをグランドに落としてます。
  • V2,V3は0Vの電圧源で、単なる導線と同じですが、LTSPICEでは導線に流れる電流を回路に一切影響を与えずに測るために使います。
  • 横向きの電流源I2はDC1Aの定電流源で回路動作用の電源です。AC解析の場合は1Aの交流電流も発生させます。
  • C1は直流カット用の電解コンデンサ、出力には負荷になる抵抗8Ωとそれに並列にスピーカーケーブルなどによるキャパシタンスを並列にいれました。
  • C2は.変数としてSTEPコマンドでシミュレーション時に指定されます。
  • このコマンドではコンデンサの値をList以下で指定している100uFより次々と10分の1毎に100pFまで変化させシミュレーションします。
         .Step param C list 100u 10u 1u 0.1u 0.01u 0.001u 100p
  • 回路図上、C2の値は数値としてではなく.Stepコマンドで参照しているCを変数{C}として入力します。


解析方法

AC解析で電流ループゲインを求めます。
周波数範囲は100Hzから100MHzまでを指定します。
そしてRUNすると1秒後くらいでグラフが表示されます。


このようなグラフがディスプレイされます。

細かくトリミングして見やすくして。


  • 上段; ループ電流ゲイン I(V2)/I(V3)とグラフの中で計算式をEditしプロット。
  • 中段; 位相。
  • 下段; V2の電流ですから出力段電流です。(電流解析なので、出力も電圧ではなく電流)

この解析結果からみえるのは、

  • ループゲインのコーナー周波数がCに応じて変化する。
  • 発振解析で最も重要なゲインが0dbになるときの傾きがCにより異なる。(6db/octより12db/oct迄
  • 位相マージン(ゲインが0dbの時の位相と180度の差)が100uFと100pFを除いてかなり少ない
  • 出力応答は同じく100uFと100pFを除いてピークが出ている、つまりこのピークの周波数で振動性の応答を起こす。
まとめると

インバーテッドダーリントンは出力に中容量以下のの容量性負荷がつながると発振しやすい!
その原因は電流ブースターのポールと出力のポールを充分離せてない為。

という事が言えるようです。

これじゃ、インバーテッドダーリントンをパワーアンプに使えないじゃないか。 

と言うなかれ、対応策はあります。
次回に



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